抄録
パイプライン内におけるメカニカルな凹凸,あるいは沈積物,腐食に伴う傷の位置をピグに付帯した種々の装置を用いて,いかに高精度かつ迅速に検知できるかは原油・ガス輸送の安全性確保の観点から必要欠くべからざることである。特に,これらの異常がピグ付帯した距離計による測定誤差にいかに影響し,またいかにしてその誤差を小さく抑えることができるかを知る必要がある。本報告においては,距離計の測定誤差に大きく影響する要因としてパイプ内面と距離計パッドの接触ロスととらえ,実操業の観点からその具体的な原因をパイプ内面の溶接に伴う突起あるいは機械的な傷と想定し,距離計のホイールの動きをパイプライン内流体がガス体,あるいは種々の密度の流体(水+油)かつ流体流量を変えうるような特殊なシミュレーターを用いて実験的に検討した。その結果,距離計による測定誤差はピグの走行速度およびラインジョイント部の溶接幅に大きく影響し,最大10%に達すること,その対応策としてはパッドのスプリング力を適切に調整することにより誤差の低減が可能であることが判明した。