Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
ニッケル担持ハニカム触媒を用いた模擬バイオガスの改質反応
荒木 貞夫日野 なおえ森 匠磨清水 岳弘日数谷 進
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2009 年 52 巻 3 号 p. 120-127

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抄録

環境負荷低減の観点から,廃棄物やバイオマスから発酵させて得られるバイオガスを原料として水素を製造する技術の発展は重要である。ハニカム触媒は既存のペレット型などの触媒と比較して,高い単位体積あたりの幾何学的表面積,低い圧力損失などのメリットを有するため,バイオガスなどを利用する比較的小規模のプラントに適していると考えられる。まず,ニッケル触媒のハニカム担体としてコーディエライトを種々の酸化物から選定した。調製したハニカム触媒を用いて,模擬バイオガスの水蒸気改質反応,部分酸化反応,自己熱改質反応を行い,メタン転化率とガス成分に及ぼす温度の影響について検討を行った。水蒸気改質反応では,出口温度から計算される平衡転化率に達しなかった。反応速度が遅いことや,吸熱反応によって触媒層温度が低下し,ハニカム担体の低い伝熱のために外部からの熱供給が追いつかなかったことが原因と考えられる。一方,発熱反応を伴う部分酸化反応と自己熱改質反応では,約1000 K以下の領域で平衡転化率を,見かけ上,上回る性能が得られた。この原因は,触媒層温度が測定された出口温度よりも高くなったためと考察される。また,自己熱改質反応において,Steam/CH4(S/C),O2/CH4(O2/C)の水素濃度やメタン転化率への影響について検討を行った。これにより,S/C=2以上,O2/C=0.5の条件で最も高い水素濃度が得られた。

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© 2009 公益社団法人石油学会
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