Journal of the Japan Petroleum Institute
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総合論文
VOPO4·2H2Oのインターカレーション-層剥離-還元により調製した高結晶性(VO)2P2O7触媒によるn-ブタン選択酸化反応
神谷 裕一今井 裕之奥原 敏夫
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2009 年 52 巻 3 号 p. 81-89

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抄録

アルコール中でのVOPO4·2H2Oのインターカレーション-層剥離-還元を利用した高結晶性(VO)2P2O7触媒の新規合成法(剥離還元法)を提案する。VOPO4·2H2Oを2-ブタノール中で徐々に加熱すると,VOPO4の層剥離が進行した。アルコール中に分散したVOPO4シートの加熱処理により,微小な駆体VOHPO4·0.5H2O結晶(1 μm×150 nm)が生成した。剥離還元法で得た前駆体結晶は反応ガス雰囲気下で高結晶性(VO)2P2O7へと変換された。この触媒はn-ブタン選択酸化において,高い活性と無水マレイン酸(MA)選択率を示した。剥離還元法を2-ブタノール-エタノール混合アルコール中で行うと,2-ブタノール単独の場合よりも微小かつサイズが均一な前駆体結晶(300 nm×35 nm)が生成した。この微小サイズの前駆体結晶から得られた触媒は,n-ブタン選択酸化に対して極めて高いMA選択率(~84%)を示し,従来法触媒を大きく上回った。VOPO4·2H2Oのインターカレーション-層剥離-還元を利用した触媒調製法が高活性かつ高選択的な触媒を得る優れた手法であることが示された。

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© 2009 公益社団法人石油学会
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