Journal of the Japan Petroleum Institute
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総合論文
NOx吸蔵還元型自動車排ガス浄化用触媒の高性能化
高橋 直樹今川 晴雄
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2009 年 52 巻 3 号 p. 90-101

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抄録

窒素酸化物(NOx)吸蔵還元型自動車排ガス浄化用触媒は,リーンバーンエンジンから排出される一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO2)へと酸化し,これをバリウムやカリウム化合物からなるNOx吸蔵材に硝酸イオンとして吸蔵する。この硝酸塩は,エンジン制御系によって作り出される還元雰囲気において,その排気ガス中に含まれる水素,一酸化炭素または炭化水素などの還元剤の反応により分解され,NOxを放出する。放出されたNOxはNOx吸蔵還元型触媒上でさらに窒素へと還元されて無害化される。世界的な自動車排ガス規制の強化に対応するためには,NOx吸蔵還元型触媒の高活性と長寿命を確保する必要がある。NOx吸蔵還元型触媒は熱劣化による貴金属の粒成長,担体比表面積の低下,およびNOx吸蔵材と担体との固相反応などによって活性点数が低下し,失活する。また,排ガス中に含まれる硫黄化合物がNOx吸蔵材に吸蔵され,これを硫酸塩へと変化させる。硫酸塩に変化したNOx吸蔵材はNOx吸蔵能を失う。本論文では,NOx吸蔵還元型触媒の耐久性改善という課題を解決するための要素技術をまとめた。また,NOx吸蔵還元機能を有する触媒とアンモニア生成吸蔵およびNOx選択還元機能を有する触媒とを融合した新しいNOx浄化システムに関しても記した。

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© 2009 公益社団法人石油学会
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