2010 年 53 巻 2 号 p. 83-88
金属イオン交換Y型ゼオライトを用いて都市ガスに含まれる付臭剤成分であるターシャリーブタンチオール(TBT)の常温吸着除去を行った。乾燥ガス条件では市販のNa-Y型ゼオライトでも適度なTBT吸着容量を示すが,含水ガス条件では低下した。銀イオン交換Y型ゼオライトは含水ガス条件で銀の導入量に従いTBT吸着容量は増加するが,乾燥ガス条件では銀の導入量に従い低下した。硫化銀クラスタの生成が性能低下を引き起こしていると思われた。銅イオン交換Y型ゼオライトは含水ガス条件では銅の導入量に従いTBT吸着容量は増加し,乾燥ガス条件ではNa–Y型ゼオライトと同等のTBT吸着容量を示した。銅イオン交換Y型ゼオライトがいずれの条件でも適度な性能を示すことが分かった。使用後のサンプルを空気中で加熱処理すると再生できるが,銀イオン交換Y型ゼオライトより銅イオン交換Y型ゼオライトの方が性能低下割合は小さかった。