Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
各種酸化犠牲剤水溶液からの光触媒水素製造
出口 清一柴田 直樹武市 敏典古川 ゆふ井須 紀文
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2010 年 53 巻 2 号 p. 95-100

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抄録

光触媒水分解の促進には生成水素・酸素の再結合(逆反応)抑制が必須であり,これに生成酸素を消費する酸化犠牲剤の添加が有効とされる。本研究では,自然界の光合成を含めたカーボンニュートラルの観点から可食の糖類,さらに非食用の木酢液に加え,これの主成分である酢酸を酸化犠牲剤として選定した。光触媒としては電子バンド構造の特徴からTiO2が最有望であり,本研究では市販3種のTiO2にPtを担持し実験に供した。実験装置には,光触媒水分解水素生成の基礎特性ならびに最適条件の明示を目的としていることから,簡易バッチ反応器を用いた。その結果,0.10 wt%でPtを担持したP25にて,50 g/l グルコース水溶液から最速水素生成速度2.60 l/(m2・h)を得た。pH調整による若干の速度向上を確認したが,薬剤消費対効果の観点からpH無調整を優位とした。単糖(グルコース・フルクトース)と二糖(スクロース)の水溶液では大差ない高い水素生成速度が得られ,多糖のデンプンでは1/8にまで速度が低下したことから,高分子を酸化犠牲剤とするために単分子化・短分子化・吸着制御などが必要とされた。非食用の木酢液では非常に低い水素生成速度が得られ,他の天然非食用酸化犠牲剤探索が必須課題とされた。

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© 2010 公益社団法人石油学会
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