2010 年 53 巻 4 号 p. 246-250
α,β-不飽和カルボニル化合物のエポキシ化は有機合成において重要な反応の一つである。我々は,代表的なアパタイトであるカルシウムヒドロキシアパタイト[HAp,(Ca10(PO4)6(OH)2)]のPO4部にVO4を導入したカルシウムバナジン酸アパタイト(VAp)を調製し,固体塩基触媒とした。本研究では,近年グリーンケミストリーの観点から注目されている過酸化水素を酸化剤とし,調製したカルシウムバナジン酸アパタイト(VAp)を用い,ヘキサンおよび水溶媒中でのα,β-不飽和カルボニル化合物のエポキシ化を検討し,収率良くエポキシドを得ることができた。本研究のエポキシ化は,ヘキサン溶媒中において最も収率が高かった。水溶媒中では水と基質との混合を促進する必要があり,界面活性剤の添加による影響,さらにVApの再生についても検討した。