Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
海域に排出された油の迅速な油種分析
滝 優人大友 直子大谷 久子冨谷 新吾宇野 俊昭永井 正敏
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2011 年 54 巻 2 号 p. 103-107

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抄録

海域に排出され環境汚染物質である軽油と重油の迅速な油種分析法を提案する。本法は赤外分光光度法を使用し,ナフタレン類の吸収811 cm−1(C-Hの2個の隣接した水素面外変角振動),742 cm−1(C-Hの4個の隣接した水素面外変角振動)および723 cm−1(メチレン基の骨格振動)を識別指標に用いた。その結果,811,742,723 cm−1の各吸収の大きさは,軽油が742<811<723 cm−1であったのに対し,A重油では723<742<811 cm−1であった。1603 cm−1の吸収は軽油よりA重油の方が大きかった。また,475 cm−1の吸収は軽油には認められなかったのに対し,A重油からは認められた。これらの吸収に基づいて,迅速に軽油とA重油を識別した。しかしながら,2955,2925,2854,1462および1377 cm−1の吸収では,軽油とA重油を識別できなかった。本法は,海域に排出した軽油とA重油の油種分析に有用であった。

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© 2011 公益社団法人石油学会
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