Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
接触分解触媒マトリックスとしてのナノポーラスアルミナの役割
坂下 幸司西村 勲芳野 真実木村 俊之浅岡 佐知夫
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2011 年 54 巻 3 号 p. 180-188

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抄録
流動接触分解(FCC)プロセスの原料への残渣油の割合が増大していることに対応するために,高活性でコークが出にくく,かつ機械的強度が強く耐水熱性を有するFCC触媒に関して基礎的な研究を行った。結晶成長が制御されたゲル化していないベーマイトを原料とする均一なナノサイズの細孔径(5~50 nm)を有するアルミナが,ゲル化している場合に比べて,その細孔の大きさが機械的強度を損なうことなく良好に制御されることを確認し,この研究に用いた。FCC触媒のマトリックスとしてのこのナノポーラスなアルミナが,再生工程での水熱的劣化を低減することにおいてナノポーラスなシリカよりも優れることを確認した。また,このナノポーラスアルミナはコーキングを抑制する予備分解を起こさせるのに重要な役割を有すること,その能力に関して最適な細孔径で示されるサイズがあることを明らかにした。その最適径は,炭素数の異なるモデル化合物を反応原料として用いることによって,反応原料にはあまり依存しないことを確認した。したがって,FCC触媒マトリックスとしての最適なナノポーラスなアルミナは,実用的な条件において基本的には,細孔直径として約11~15 nmを示すものであると結論した。
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© 2011 公益社団法人石油学会
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