抄録
先進国においてガソリン需要の減少が見込まれており,ガソリン基材である分解油留分利用の転換が必要とされる。一方で芳香族成分は化学工業分野において需要があるため,該当留分からの回収技術が求められている。本報告では分解油留分の一例として分解灯油を用い,スルホラン水溶液およびメタノール水溶液による液液平衡を測定した。まず,原料分解軽油を分析し,23の主な成分を同定した。分配係数は直鎖炭化水素成分よりも芳香族成分の方が大きく,溶媒中の水の質量分率の増加とともに減少した。各芳香族成分のノナンに対する分離の選択度は水相中の水の質量分率の増加とともに,および着目芳香族成分の炭素数の増加とともに増加した。また,全芳香族成分の分配係数および分離の選択度は,メタノール水溶液を溶媒として用いた場合よりスルホラン水溶液の場合の方が大きい値を示した。さらに,水の添加により両溶液に対して分離の選択度は増加し,メタノールの場合の方が水の添加による影響が大きかった。