Journal of the Japan Petroleum Institute
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総合論文 ―特集: ゼオライトの新規合成プロセスの開拓―
ゼオライト合成におけるゼオライト転換法の可能性
佐野 庸治 板倉 正也定金 正洋
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2013 年 56 巻 4 号 p. 183-197

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抄録

ゼオライトを出発原料に用いたゼオライト合成,ゼオライト転換により,FAU,ベータ(以下,BEA)およびLEV型ゼオライトからBEA,CHA,LEV,RUTおよびMFI等の様々なゼオライト合成に成功した。アモルファスゲルを原料に用いる通常のゼオライト合成と比べ,これらのゼオライトを出発原料に用いた場合には結晶化速度が増大した。この結晶化速度の増大は,出発ゼオライトの分解により生成した局所的秩序構造を有するアルミノシリケート種である構造ユニット(ナノパーツ)が他のゼオライトへ再構築されていることを強く示唆している。したがって,出発ゼオライトと最終生成物であるゼオライト間の構造類似性がゼオライト転換を決める極めて重要な因子である。これらの結果は,新たなゼオライト合成ルートとしてのゼオライト転換法の可能性を示すものであり,構造の異なるナノパーツを化学的操作により組み立てていく手法が確立されれば,新規構造を有するゼオライトを自由自在に設計することも近い将来可能になると期待している。

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© 2013 公益社団法人石油学会
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