Journal of the Japan Petroleum Institute
Online ISSN : 1349-273X
Print ISSN : 1346-8804
ISSN-L : 1346-8804
総合論文 ―特集: ゼオライトの新規合成プロセスの開拓―
コア-シェル構造の多孔体の合成と触媒および中空材料の前駆体としての利用
岡本 昌樹
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 56 巻 4 号 p. 198-205

詳細
抄録

ゼオライトや規則性メソ多孔体のような規則性多孔体は,高表面積をもち,大きさが整った細孔径を有する魅力的な材料である。これら規則性多孔体の構造や形状を制御することにより,新たな機能を付加することができる。本論文では,コア-シェル構造に注目し,欠陥の少ないコア-シェル構造を有するゼオライトの合成法について紹介する。また,利用例として,コア-シェル構造のMFIおよびTON型ゼオライトを用いた触媒は,トルエンのメチル化やテトラデカンの骨格異性化において高い形状選択性を示すことについて述べる。さらに,もう一つの利用例として,コア-シェル構造体を前駆体とした中空多孔体の合成法についても紹介する。コアにシリカの分解触媒であるアルカリ金属塩を選択的に担持させ,炭酸ジメチルによるシリカの分解反応を行うことにより,コアのみを取り除くことができ,効率よく中空多孔体を形成することができた。中空多孔体は,ドラッグデリバリー用の薬物容器や触媒容器,ミクロ反応容器としての利用が期待できる。

Fullsize Image
著者関連情報
© 2013 公益社団法人石油学会
前の記事 次の記事
feedback
Top