抄録
活性炭担持Ru–Sn触媒を通常の含浸法で調製し,XRD,H2-TPR,可視光吸収,EDXおよびXPSで物性を評価した。RuCl3,Ru(NO)(NO3)3,Ru(NO3)3,SnCl2,SnCl4,あるいはSn(OCOCH3)2の金属塩の組合せが得られる触媒の金属の状態に大きな影響を及ぼした。RuCl3とSnCl4を原料とした場合にはXRDでピークが見られず,金属は高分散していると推定された。一方,RuCl3とSnCl2,あるいはRu(NO3)3とSn(OCOCH3)2の組合せでは特徴的な回折パターンが認められ,これは体心立方構造の金属間化合物RuSnであることが分かった。RuCl3とSnCl2,あるいはRu(NO3)3とSn(OCOCH3)2の組合せでは含浸操作中にある種の錯体が生成していることが示唆された。乳酸の水素化を200 mLのオートクレーブ中で,150~200 ℃,2~6 MPaの水素圧下(室温における初圧)で検討した。RuCl3とSnCl4から調製した触媒は,乳酸濃度0.55 M,150 ℃,水素圧5.7 MPa,4時間,0.80 gの5 % Ru–5.9 % Sn/C触媒の反応条件下で,公知の触媒より優れた性能を示した。この触媒での1,2-プロパンジオールの収率と生産性は,それぞれ99.0 %,0.51 g g-cat−1 h−1 (6.7 mmol g-cat−1 h−1)であり,この高収率は本触媒では生成物の逐次水素化が進行しないためと分かった。