2016 年 59 巻 6 号 p. 259-265
対向拡散CVD法によるシリカ複合膜は,シリカ源に導入する有機官能基の種類を変えることで細孔径をÅオーダーの制御が可能である。この細孔径制御技術を炭化水素分離膜の開発に応用した。本研究では,CH4/C2H6およびC3H6/C3H8系を検討した。シリカ源はエチルトリメトキシシラン(ETMOS)やプロピルトリメトキシシラン(PrTMOS),ヘキシルトリメトキシラン(HTMOS)を用いた。各シリカ源の加水分解粉末の熱分解挙動より,HTMOSは分解開始温度が400 ℃と高かった。また,3種のシリカ源をそれぞれ270 ℃で蒸着させた膜の細孔径を比較したところ,有機官能基のサイズによらず細孔径は約0.40 nmであった。これより,アルキル基はすべて焼失しているのではなく,オゾンにより部分的に分解していると考えられる。蒸着温度300 ℃のETMOS膜において,CH4透過率2.8 × 10−9 mol m−2 s−1 Pa−1のとき,CH4/C2H6透過率比38が得られた。また,HTMOS膜ではC3H6/C3H8透過率比414が得られた。この膜では,C3H8透過の活性化エネルギーが正であったことより,分子ふるい機構であると予想される。このようにアモルファスシリカ膜の蒸着条件を制御することで,各種炭化水素分離に適した膜の開発が可能であると言える。