Journal of the Japan Petroleum Institute
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総合論文 ── 「多孔質膜の調製および分離への適用」特集 ──
ミクロ孔炭素膜の細孔径制御と水素分離への応用
廣田 雄一朗西山 憲和
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2016 年 59 巻 6 号 p. 266-275

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抄録

ミクロ孔炭素膜の新規細孔径制御法の開発により,均一な細孔径(0.3~0.5 nm)を有する炭素膜の作製に成功し,様々な系における水素分離性能を評価した。開発した炭素膜はいずれも,水素/一酸化炭素,水素/二酸化炭素や有機ハイドライド脱水素膜反応器などの様々な水素分離系において優れた水素選択透過能を示した。以下に開発した三つの制御法について述べる。(1)フルフリルアルコールの蒸着条件と炭化条件の調整による膜厚と細孔径制御法。この方法により,従来報告されていなかった気相合成での0.3 nmの均一な細孔を有する膜の作製に成功した。(2)賦活処理による膜厚と細孔径制御法。様々なガスおよび水蒸気下で賦活処理することで,細孔径の拡大に成功した。処理後の炭素膜の細孔径や形状は賦活条件(賦活種および処理温度)により大きく変化し,水素雰囲気下700 ℃での処理では,細孔径は0.3から0.45 nmへと拡大した。(3)四級アンモニウム塩添加による0.4 nm以上の大きな細孔を有する炭素膜の直接合成法。異なる長さのアルキル側鎖をもつ四級アンモニウム塩を用いることで,0.4 nmおよび0.5 nmの均一な細孔を有する炭素膜の直接合成に成功した。

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