2017 年 60 巻 5 号 p. 223-231
ゾル-ゲル法でγ-Al2O3を調製し,そこへ硫酸アンモニウムを投入することで硫酸処理した担体を用い,遷移金属(Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu)を担持した触媒を調製した。そして,プロパン脱水素反応に及ぼす硫酸処理の影響と活性種の調査を行った。担体に硫酸処理をしない触媒はプロピレン選択性が低かったが,硫酸処理した触媒は高いプロピレン選択性を示した。特に,Co成分を担持した触媒が高選択的にプロピレンを生成した。また,安定性も改善されて,触媒劣化が抑制された。硫酸処理したCo触媒の反応前と反応後の触媒について物理化学的特性を評価し,触媒性能が向上した要因を検討した。XRDやRaman測定の結果から,硫酸処理は触媒のバルク構造には影響を与えないことが分かった。XPSやXANES測定から,反応前にSO42–として担持された硫黄種は,反応中にS2–に還元されることが分かった。活性の上昇とともにS2–の量が増加していることから,S2–が活性種として機能し,選択的に脱水素反応を促進する一因と推測された。