2017 年 60 巻 5 号 p. 211-222
原油備蓄基地において,タンク内で形成した原油系W/Oエマルジョンの水分離性(原油系W/Oエマルジョンの安定性)が,原油種によって著しく異なる要因を明らかにするため,水分離性が異なる原油(アッパーザクム,フート)を用いて原油系W/Oエマルジョンを調製し,水(水粒子)を重力沈降させてタンク内における水の沈降メカニズムを検討した。また,原油から分離した3留分(アスファルテン(ASP),脱れき油(レジン(R)を含有),ワックス状油(脱れき油からRを除いたもの))を用いてモデルW/Oエマルジョンを調製し,その安定性を評価して原油系W/Oエマルジョンの安定化に寄与する因子と,原油種により水の分離性に差異が現れる要因を検討した。その結果,一部の水粒子は沈降中に合一して大きくなり,また水が分離しやすい原油は,水が分離しにくい原油と比較して水粒子同士が合一しやすい環境を与える原油であることが示唆された。原油に含まれるASPおよびRは界面活性成分であり,ASPが形成する油水界面膜の堅ろう性およびRが油水界面膜強度や水粒子径に与える影響が原油系W/Oエマルジョンの安定性に寄与していることが示唆された。