2020 年 63 巻 2 号 p. 52-61
不飽和アルデヒドから不飽和アルコールへの選択水素化における触媒性能のさらなる向上には,不均一触媒における活性点構造を深く理解する必要がある。SnPt二元系触媒では,合金を形成するSn金属が選択性に強く影響を及ぼす重要な要因の一つと考えられている。本稿では,Sn/Pt原子比が異なる担持および非担持のSnPt二元系触媒上でのクロトンアルデヒドの水素化反応におけるSnxPty合金構造と触媒性能の関係について解説する。SnPt二元系触媒調製時のSn/Pt原子比が同じでも,調製方法の違いにより異なる合金相が形成した。本研究では,Sn1Pt3,Sn1Pt1,およびSn2Pt1合金の形成を確認し,いずれの合金もPt金属より高いクロチルアルコール選択性を示した。共含浸および逐次含浸で調製した担持触媒およびポリアルコール還元法で調製した非担持触媒のいずれにおいても,Sn1Pt3合金構造からSn1Pt1合金構造に相変化するに従ってクロチルアルコールの選択率が向上した。また,さらにSn含有量が多いSn2Pt1合金構造が触媒上に形成するとクロチルアルコールの選択率が低下した。不飽和アルデヒドの水素化反応においてSn1Pt1合金構造が不飽和アルコールの形成に最も有効な合金構造であった。