2020 年 63 巻 3 号 p. 149-157
メチル基修飾した窒素置換SBA-15(MeNSBA-15)は,骨格中のメチル基修飾された窒素原子が触媒活性点として働き,不飽和アルコールとCO2からの環状カーボネート合成に対して触媒作用を有する。合成された不飽和環状カーボネートは様々な化成品の合成中間体になり得る有用な化合物である。MeNSBA-15のこの反応に対する触媒作用を解明するために,反応基質であるアルコール体とCO2のそれぞれの濃度に対するターンオーバー頻度(TOF)の変化を測定した。その変化の傾向から,CO2の触媒表面に対する親和性が不飽和アルコールよりも高く,反応中において活性点上でカルバメート種と呼ばれるCO2が活性化した種が存在すると考えた。このことにより,MeNSBA-15によってこの反応は,カルバメート種の生成,カルバメート上への不飽和アルコールの吸着,アルコールの脱プロトン化とそれに伴うC–O結合生成,分子内環化,生成物の脱離という5 段階の素過程を経て進行していると推定した。