Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
昇温硫化法によるリン化ロジウム触媒の耐硫黄性評価
上野 錬上道 芳夫神田 康晴
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2020 年 63 巻 3 号 p. 141-148

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抄録

本研究では,リン化ロジウム(Rh2P)系脱硫触媒の昇温硫化(TPS)プロファイルを測定し,耐硫黄性を定性的かつ定量的な観点から評価した。Rh/SiO2触媒のTPSプロファイルでは,400 ℃付近にRh2S3の生成に起因するH2Sの消費ピークが見られた。これに対し,このピークはP/Rh比の増加および還元温度の上昇により,高温側へシフトし,小さくなることが分かった。さらに,TPSプロファイルを30~350 ℃までの範囲で定量した結果から,P/Rh比が1.5以上の触媒では,Rh種と反応するH2Sの量をRh触媒と比較しておよそ80 %抑制できた。また,XRDにおけるRh2Pの回折ピーク強度が増加すると,Rh種と反応するH2S量は減少するため,Rh2Pが高い耐硫黄性を有していることを明らかにした。定量結果から得られた触媒中のS含有量とP/Rh比との関係は,先に報告された硫化処理後のRh2P触媒に含まれるS量とよく一致しており,本法の妥当性が確認された。以上のことから,TPS法はリン化物触媒の耐硫黄性評価法として優れており,Rh2Pが高い耐硫黄性を有していることを定性的かつ定量的な観点から明らかにした。

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