2020 年 63 巻 4 号 p. 163-171
非可食バイオマスから製造される第二世代バイオエタノールは,環境低負荷なガソリン添加剤等としてその利活用が世界的に進められている。バイオエタノール製造における重要な工程は,リグノセルロースを解重合して得られた糖化合物を原料に用いた発酵プロセスである。本プロセスは,バイオマス由来の副生成物(主に5-ヒドロキシメチルフルフラールやバニリン等の芳香族化合物)がわずかにでもきょう雑していると著しく効率が低下することが知られている。本稿では,このような芳香族化合物を糖化合物水溶液から高選択的に吸着 · 分離するために我々が開発してきた,芳香族ドメインを有する吸着剤(金属有機構造体や表面修飾シリカ)について概説する。特に,芳香族ドメインの大きさや形状が各吸着質との相互作用の強さに与える影響について言及し,分子認識能の発現に必要な材料の性状ならびに設計指針を述べる。