Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
リモナイト触媒を用いたスラリー型ハイドロクラッキングの反応モデル
川井 英司 藤井 重孝佐藤 秀紀和田 幸隆武田 大
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2020 年 63 巻 4 号 p. 184-195

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抄録

(株)神戸製鋼所と千代田化工建設(株)が,90 %を超える分解率を持つ究極の重質油改質プロセスとして共同開発したKOBELCO SPH(スラリー床水素化分解)プロセスは,上流の油井での重質原油アップグレードへの適用,または製油所内での減圧残油(VR)アップグレードへの適用が可能である。一般に重質油の水素化分解では,熱分解によって引き起こされるラジカル反応と高分子化合物の縮重合により,分解率が高くなるにつれてスラッジ生成速度が増加する。本研究目標は,95 wt%を超えるVR分解率,80 wt%を超える油収率,かつスラッジ生成の最小化を達成する最適化された反応条件を見つけ,パイロットおよび商業装置のプロセスシステム構築に適用することである。この目的のために,1 L容積のオートクレーブ試験装置を用い,反応時間,触媒リモナイト濃度,反応圧力,および反応温度を変化させ,最適な反応条件を見つけた。また,この反応条件を理論化し,将来的なパイロット · 商業装置への適用性拡張を行うためには今までにない新しい反応モデルが必要である。本論文では,その新しい反応モデルを提案し,試験結果をシミュレートすることで反応モデルの妥当性の検証を行うとともに,将来への課題 · 展望を述べる。

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© 2020 公益社団法人石油学会
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