Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
クアンニン石炭灰成分からのZSM-5ゼオライトの合成と低密度ポリエチレンの接触分解における反応性
NGUYEN Hung Quang Viet國枝 昴希松浦 真也橋本 忠範石原 篤
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2024 年 67 巻 2 号 p. 61-70

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抄録

ベトナムクアンニン省(QN)の石炭は高品質で世界的に知られている。QN石炭灰は,ゼオライト合成に利用できるAl2O3およびSiO2を含有している。本研究では,QN石炭灰に含まれる無機化合物を用いて,合成条件を変化させてZSM-5ゼオライトを調製した。実際の石炭灰には含まれるが,ゼオライトの調製には必要ではない成分がゼオライトの調製および特性に及ぼす影響を調べた。テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)を用いて150 ℃,48時間の条件でZSM-5を合成したところ,XRDパターンと窒素吸脱着測定の結果から,ZSM-5結晶はSiO2/Al2O3比が52よりも高い時に観察され,78で最大となることが確認できた。QN石炭灰成分を含まないZSM-5合成においても,実際のQN石炭灰成分を含む場合でも同様の結果が観察され,ZSM-5の調製に対する成分の影響はかなり小さいことが示された。これらのゼオライトをキュリー · ポイント · パイロライザー法による低密度ポリエチレン(LDPE)の接触分解に用いたところ,モデル石炭灰成分を用いて調製したZSM-5は,QN石炭灰成分を含まないZSM-5と同等,またはわずかに高い転化率を示した。これに対し,実際のQN石炭灰成分を含む場合は転化率がやや低く,無機塩の種類がLDPEの接触分解における反応性に影響を与える可能性が示唆された。

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