2026 年 69 巻 3 号 p. 156-167
廃棄物による環境負荷の低減は持続可能な社会の構築における重大な課題であり,循環型経済システムの確立は急務である。使用済み潤滑油は,焼却処理を伴う熱利用によって再生燃料として利用されることが多く,潤滑油としての再利用はほとんど進んでいない。潤滑油リサイクルを推進するには,廃潤滑油中の残存添加剤や劣化生成物を効率的に除去できる革新的技術が求められる。本研究では,V型深共晶溶媒を用いて使用済み潤滑油中の添加剤や劣化生成物を抽出 · 除去する新しい手法を見出した。廃油に深共晶溶媒を添加し抽出操作を行った結果,残存添加剤や劣化生成物が大幅に減少し,元素分析の検出限界値まで除去可能であることを確認した。さらに,使用後の深共晶溶媒は容易に再生でき,再生深共晶溶媒を用いても新規な深共晶溶媒と同等の抽出性能が得られた。本技術は潤滑油の効率的な再生を可能にし,資源循環型社会の実現や環境負荷の低減に貢献するリサイクル技術として期待される。