Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
酸化チタン上での界面電荷移動遷移を用いた9-メチルアクリジンの光酸化反応
浪花 晋平 島瀬 寛大井口 翔之寺村 謙太郎
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ジャーナル オープンアクセス

2026 年 69 巻 3 号 p. 168-174

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抄録

界面電荷移動(IFCT)は内圏型電子移動によって効率的に吸着分子を光活性化する手法として知られている。従来のIFCTの多くは,表面錯合体の形成にヒドロキシル基やアミノ基などの電子が豊富な官能基を必要とし,IFCTを利用した反応はこれらの官能基の酸化反応が主であった。本研究では,芳香環内の窒素原子による酸塩基相互作用を利用した新しいIFCTを着想し,それを利用した芳香族メチル基の光酸化を試みた。その結果,酸化チタンに吸着した9-メチルアクリジン(9-MA)がIFCTを起こし,それによって9-アクリジンカルボキシアルデヒド(9-ACAl)への光酸化反応が進行することを見出した。酸化チタンに吸着した9-MAは,可視光領域(400〜500 nm)にIFCTに由来すると考えられる吸収帯を示した。可視光(λ=465 nm)照射下において,9-MAから9-ACAlへの光酸化が進行し,反応開始から3時間で最大44 %の収率で9-ACAlが得られた。一方,紫外光(λ=365 nm)照射下における収率は最大11 %であった。紫外光照射下では励起した光触媒によって9-MAと溶媒であるトルエンの両方が活性化されたが,可視光照射下ではIFCTによって選択的に9-MAが活性化されたため,効率的に9-ACAlが生成したと考えられる。本研究は,芳香環内のヘテロ原子と光触媒表面との相互作用に基づくIFCTと,それを利用した選択的な光活性化手法を提案するものである。

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