Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
低塩分濃度水によるぬれ性変化—有機酸単分子層構造に対するpH依存応答—
Mariam WANLI 小林 和弥村田 澄彦
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2026 年 69 巻 4 号 p. 199-210

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抄録

低塩分濃度水攻法(LSWF)は持続可能な石油増進回収法として登場し,ぬれ性変化がその主要なメカニズムとされている。しかし,そのぬれ性変化は初期飽和水存在下における油成分の初期吸着構造の影響を受けるが,この影響の背後にあるメカニズムは未解明のままである。本研究では,有機酸単分子層の初期吸着構造がぬれ性変化にどのように影響するかについて調査する。初期飽和水存在下で白雲母上にCa架橋したステアリン酸(SA)の単分子層を形成させることで貯留岩鉱物の初期表面状態を模倣し,原子間力顕微鏡(AFM)を用いてその単分子層構造を評価した。続いて,n-デカン中で塩分濃度とpHが異なるNaCl水溶液の液滴の接触角を測定した。AFMにより,Ca2+とSAの濃度が高ければほぼ連続した単分子層が形成されるのに対し,濃度が低ければSA単分子層が斑状または島状になることが確認された。また,接触角測定の結果,斑状の吸着構造ではLSWがSA単分子膜下の水膜に容易にアクセスできる経路が多く存在するため,LSWの効果が顕著になることが示された。さらに,pHはSA単分子膜の安定性を支配すること,すなわちpH 2におけるカルボン酸のプロトン化はSAの脱着を引き起こすことが分かった。これらの知見は,LSWによって引き起こされるぬれ性の変化がpHと鉱物表面に吸着された有機酸の層の下にある初期飽和水への界面経路の相乗効果によって引き起こされることを強調しており,LSWFの基本的かつ微視的なメカニズムを示している。

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