2026 年 69 巻 5 号 p. 285-293
有機フッ素化合物は広範に存在し難分解性かつ毒性を有することから,その分解プロセスに対する関心が高まっており,C–F結合を開裂するための技術開発が必要とされている。また,太陽光パネルの大規模な普及と再生可能エネルギーの導入拡大に伴い,使用済み太陽光パネルのリサイクルおよび再利用も重要な課題となっている。本研究では,太陽光パネルに含まれるシリコンに着目し,有機フッ素化合物の脱フッ素水素化反応におけるシリコン粉末の還元剤としての応用を検討した。反応条件の最適化によって,フッ化テトラブチルアンモニウム3水和物または水酸化テトラブチルアンモニウムを促進剤として用いると,シリコン粉末がベンゾトリフルオリド類の脱フッ素水素化反応に有効な還元剤として機能することが示された。さらに,X線光電子分光測定,X線回折測定,窒素吸脱着測定などの分析を組み合わせることで,シリコン還元剤の表面およびバルク内部での反応過程を明らかにした。