抄録
ボスカン原油の無触媒水素化反応の脱金属や脱硫に対する効果をバッチ式反応器を用いて検討した。実験操作として加熱水素化処理, さらにペンタン溶媒による脱アスファルトを行った。
試料原油は, バナジウム1,250ppm, ニッケル117ppmの金属含有量で, 硫黄濃度は5.6%, 密度は10.3°APIである。
水素化処理後の脱アスファルト油の収率は使用原油に対してw/wで74.3%, V/Vで81%であった。この生成油 (24.5°API) のバナジウムおよび硫黄の含有率はそれぞれ40ppmおよび3.5%と少なく, その後の脱硫処理のためには良質の原料となる。水素化を行わないと液状生成物の収率は72.8% (w/w) でそのバナジウム含有率は263ppmであった。
脱バナジウム率は水素化処理を行わない場合84.7%で, 水素化処理を行うと97.6%となり, このように水素化処理後の脱アスファルト油分における脱金属率が増大することは樹脂状分中の重金属含有分子の脱水素に帰因するものと考えられ, このことは水素化処理生成物の溶剤脱アスファルトにおけるそのような分子の沈殿に好都合である。
水素分圧の上昇は炭化現象を抑制し, 液状生成物収率を著しく増大させるのに役立つ。
物質移動抵抗で, 水素移行に依るものは全体の11%と見なされ, 操作条件に依存する。
かく流操作を強めると炭素析出が低下するが, これは反応器壁における温度低下によるものと考えられる。無触媒水素化処理は"除去容易"な硫黄分だけを除きボスカン原油の場合, 脱アスファルト油の脱硫率は37%であった。