抄録
触媒素反応機構の分子シミュレーション解析によって, 水素化脱硫 (HDS) ならびに水素化脱窒素 (HDN) 反応に代表される石油精製反応の素反応モデルを考察した一連の成果をまとめた。
水素化精製触媒の活性点は, 現在ではMoS2微結晶のエッジ部に形成されるCo-Mo-S相であるという説が広く支持されている。ここでは, (1) 気相H2の吸着•解離, (2) S化合物(基質分子) の配位, (3) C-S結合の開裂, (4) 生成物脱離の各ステップを経て, 反応が進行すると予想される。しかし, 実際の反応条件下で, このような活性点における触媒作用機構は明らかではない。これには反応に最も寄与する基質側の分子軌道の解明, ならびに活性点側の電子状態を概観した上で, 基質-活性点相互作用を議論する必要がある。そこで素反応モデルとして, ジベンゾチオフェンのHDS反応過程を分子軌道計算し, 化学反応律速の検証を行った。同様にアクリジンのHDN反応シミュレーションへの適用も試み, 触媒活性点における分子反応機構を提案した。