2021 年 27 巻 p. 85-100
日本と開発途上国の環境・社会問題は,グローバル・コモディティの生産・消費を通して関連していることが少なくないにもかかわらず,これまでの環境社会学はそれらを関連づけてとらえ,解決策を検討する研究を十分行ってこなかった。そこで,グローバル・コモディティの採取・生産,加工・製造,消費,廃棄の現場で生じる環境・社会問題を各プロセスの相互関係からとらえ,問題解決を探求する「グローバル・コモディティの環境社会学」を研究分野として提案した。日本との関係をふまえた途上国の環境・社会問題を扱った環境社会学の先行研究は,加害─被害構造論や受益圏・受苦圏論の視点から研究を行ってきた。しかし,国際情勢と途上国の政治情勢の変化に伴う企業と先住民の政治的力関係の変化,国際資源管理認証,フェアトレード,先進国における持続可能な消費という動きがあることをふまえると,今後は多様なアクターの交渉・協働・連帯に着目し,環境・社会の再構築の様相を明らかにする研究が必要になると考えられた。そして,事例として民主化・地方分権化以降のインドネシアにおける石炭企業と焼畑民の交渉の様相を明らかにし,今後の研究課題を提示した。