2022 年 28 巻 p. 6-20
社会のあらゆる領域に環境的価値が組み込まれる過程を「グリーン化」と呼ぶことにする。社会のグリーン化のアプローチの1つにグリーンインフラがある。グリーンインフラは,自然の諸機能の活用を提案または創造しようとするアプローチである。社会がグリーン化され,多様な人びとの協働と合意形成というガバナンスが要請されるなか,環境社会学に対して,政策プロセスへの参加や,提案型や創造型の解決策が期待されようとしている。本稿では,環境社会学は,社会のグリーン化へのアプローチであるグリーンインフラに対してどのような社会的役割を果たすことができるのかという「問い」を立てた。
グリーンインフラは,第1に多目的なものを多目的に解決する手法,第2に順応性,第3にインフラのコモンズ化という特徴を持ち,環境社会学が貢献しうる問題である。環境社会学は「聞く」という手法を用いて,多様な人びとの対話と相互学習を促進することにより,創造的な解決アプローチを支援する,自省的な政策科学という特徴を持っている。自省的な政策科学として環境社会学は,第1に経済合理性や効率性では掬いきれない政策の多面性評価,第2に政策の参照基準の提示,第3に諸分野の統合と組織化といった役割を果たしうる。これら役割は切れ味鋭くわかりやすいものではないが,道具と道具をつなぐ道具としての役割を果たすのに適している。政策プロセスに参加することや異分野や異業種との対話と協働でこそ,より発揮できる役割である。違う分野にはない道具であるからである。