環境社会学研究
Online ISSN : 2434-0618
特集 グリーン化する社会の環境社会学─グリーンインフラとどう向き合うか?
グリーンインフラとしての海岸マツ林の保全管理とローカル・ガバナンス—3地域の比較から見る政策的誘導のあり方—
朝波 史香鎌田 磨人
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2022 年 28 巻 p. 21-40

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抄録

海岸マツ林は,それぞれの地域の風土のなかで創造・維持されてきたグリーンインフラであるが,その維持管理を行政のみで行っていくことはできない。多様な人・組織が関わり,協働で管理していく仕組みを構築すること,すなわち,ガバナンス型解決を目指すことが必要である。筆者らは,徳島県海陽町大里松原(朝波・鎌田2022),佐賀県唐津市虹の松原(Asanami and Kamada 2022),福岡県福津市福間海岸松林(朝波ほか2020)を対象にした研究を行い,それぞれの地域で海岸マツ林を誰がどのように保全・管理を行っているのか明らかにし,活動の継続性や発展性についてローカル・ガバナンスの視点から考察してきている。本稿では,3地域の比較を通して,協働による海岸マツ林の保全管理を創出・維持するための望ましいローカル・ガバナンスのあり方と,それを誘導するのに有効な政策・施策のあり方を検討し,以下のことを明らかにした。すなわち,①地域の人々,ボランティア,企業,研究機関,行政等が集うプラットフォームとして協議会が重要であること,②協議会の持続的な活動はネットワーク間の信頼と地域への愛着といった,数字では表せない「関係」や「つながり」によって維持されること,③行政は異なったインセンティブにより集まっている組織や人が協議会内で継続的に話し合い,自律的に意思決定できる仕組みや制度を整えながら下支えをしていく必要があること,④一方,協議会は行政の素案に対する代案の提示や自主的な政策提案をする機能を持つ必要があること,そして,⑤地域自治政策がガバナンス型解決を導くのに有効であること,である。

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© 2022 環境社会学会
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