環境社会学研究
Online ISSN : 2434-0618
特集 グリーン化する社会の環境社会学─グリーンインフラとどう向き合うか?
グリーンインフラの環境社会学的分析視角—環境制御システム論の視点から—
茅野 恒秀
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 28 巻 p. 73-88

詳細
抄録

自然が有する多機能性を引き出し,活かそうとするグリーンインフラの日本における登場と広がりは,インフラをめぐる社会的議論の大きな転換・転回と捉えてよいのだろうか。こうした変化を環境社会学はどう受けとめ,学の社会的役割を果たすことができるのだろうか。

本稿は,こうした問いに答えるべく,第1にグリーンインフラの日本的展開の解読を行い,研究史と政策史の視点から,造園学・生態学による地域計画的志向性を持った研究と実践,河川・港湾事業における環境政策,自然再生事業や防災インフラの整備などの流れが合流したものと解することができることを明らかにした。第2に環境ガバナンスの基礎理論としての環境制御システム論を通じてグリーンインフラの理解を試み,「循環」「蓄積」「技術」を鍵とした環境調和型蓄積のモデルの有効性を検討した。第3に,日本における土地利用計画の欠如が,グリーンインフラのポテンシャルを打ち消す力となる可能性を指摘した。

独特の展開を有している日本のグリーンインフラであるが,インフラストラクチャーが本来的に有する複雑性を,複雑さを前提に解こうと志向するものであるならば,環境社会学の役割は社会,または環境と社会の深い理解に基づき,グリーンインフラの科学というプラットフォームの一翼を担うところにある。

著者関連情報
© 2022 環境社会学会
前の記事 次の記事
feedback
Top