環境社会学研究
Online ISSN : 2434-0618
論文
コミュニティ・レジリエンスが発揮される空間
ネパール2015年地震で被災した都市近郊農村を事例として
伊東 さなえ
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2023 年 29 巻 p. 87-103

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抄録

2015年4月25日,ネパールでM7.8の大地震が発生した。地震発生直後から,被災した調査地の人びとはテントの設置や食料の提供,仮設小屋の建設や瓦礫の撤去などを行ってきた。本稿はこの一連の活動を事例とし,災害下のコミュニティ・レジリエンスについて検討する。調査地では震災以前から,近代化と人口の流動化のなかで地理的範疇や人的範疇が曖昧化していた。このことに着目し,調査地のコミュニティが災害に際しレジリエンスを発揮した機序を探求した。調査地の災害対応活動では,村などの地理的な名称だけでなく,国際開発協力プロジェクトのなかで形成された組織などの近代化のなかで新しくつくられた枠組みも,人びとが自分たちのコミュニティを想像する拠点となっていた。いくつもの重なり合う地理的範疇や人的なつながりなどを想像の拠点としながら,曖昧でグローバルに拡散するコミュニティの空間が創造された。災害下におけるコミュニティの空間の想像/創造は,資源が限られるなかで,ある程度の境界をつくり出し,活動範囲を限定するための論理としても機能した。ただし,そこで想像/創造されたコミュニティの範疇は,曖昧で不明瞭なものであったため,レジリエンスを発揮するコミュニティは排他的・固定的なものとしては立ち現われなかった。結果として,調査地におけるコミュニティ・レジリエンスの枠組みは災害に直面した際に多様な人びとを曖昧に包含する余地を残していた。

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