2023 年 29 巻 p. 71-86
本稿では,東近江三方よし基金を事例として,ローカル・ファイナンスが持続可能な地域社会の発展にいかに寄与するかについて考える。パーソンズとスメルサーによれば,信用現象は経済と政治の交換領域にある。とりわけローカル・ファイナンスを論じることは,信用をつうじてローカル・ガバナンスを論じることにほかならず,環境社会学において重要な研究課題といえる。
2017年に設立された東近江三方よし基金は,行政とのかかわりが強いものの,一貫して内発的な課題意識のもとで運営されてきた。ソーシャル・インパクト・ボンドや休眠預金等活用事業など,先進的なファイナンスメニューを用意し,独創的な木製つみきの製作会社など将来性のある事業に支援を実行してきた。その意義は,近代化の過程において税金へと集中したお金の流れを変え,隔てつつ結びなおすような信用の社会的機能を地域に埋め戻すことにある。
今後環境社会学には,こうしたローカル・ファイナンスがもたらす社会的な効果,またその意義や課題を明らかにする作業が求められる。