2024 年 69 巻 2 号 p. 78-81
2018年度から持続的に行っている城西大学薬学部薬学科4年生のプロジェクト基盤型学習科目のコミュニケーション体験演習(必修科目)は,授業のテーマである「自分ごと化 城西・薬学」として各プロジェクトチームが活動をしている。この授業では,生活者の多様な考え方を理解したうえで,薬剤師として地域社会に貢献できるようになることを目指し,より実践的なコミュニケーション能力を培い,対象者に寄り添い,課題解決に向けた方策や活動を考える能力を養うことを目標としている。学生たちは苦悩しながらもチーム内のメンバーと議論や練習を重ね,主体的に活動する。科目履修当初は,協働する経験の少ない学生にとっては,難しい科目でどうなるだろうと不安である。しかし,学生間で色々な活動を通じて,会話だけでなく相手の気持ちに共感しながら,企画思案し,振り返りをしながら,一歩一歩,小さなチーム形成が芽生える。個々の学生にとっても何らかの気づきを得る機会になり,このような体験を通じて,座学では得られないような課題解決のための能力を培うことを目的に実施している。本稿は,この科目の立ち上げから現在までの経験を記載し,学生支援の一助となればと思う。