2021 年 8 巻 p. 1-9
本研究は,がん看護専門看護師の役割行動の実態と役割行動能力に関連する要因を明らかにすることを目的とした.全国の病院に勤務するがん看護専門看護師636名を対象に質問紙調査を実施した.質問紙は,専門看護師における自律性測定尺度におけるCNS役割行動,ENDCOREsコミュニケーションスキルスケール,育成環境に対する認識項目,属性で構成した.CNS役割行動を従属変数とする重回帰分析を行った.
調査の結果,266名(有効回答率42.5%)の有効回答が得られた.重回帰分析の結果,コミュニケーションスキルを示す「他者受容」「自己主張」「自己統制」,育成環境を示す「活動支援の程度」「職務規程の有無」などの要因との関連が示された.看護管理部の役割開発における育成環境の支援整備とともに,がん看護専門看護師自らも組織に所属する管理職や専門職と協働できる高度なコミュニケーションスキルの獲得が重要であることが示唆された.