水環境学会誌
Online ISSN : 1881-3690
Print ISSN : 0916-8958
ISSN-L : 0916-8958
調査論文
農業集落排水処理水の灌漑利用からみた連続流入間欠ばっ気活性汚泥法の運転管理
中野 拓治李 雨桐山岡 賢治多 伸介
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 46 巻 1 号 p. 21-33

詳細
抄録

本研究は農業集落排水施設で多く採用されている連続流入間欠ばっ気活性汚泥法の処理水について, 「処理水の灌漑プロジェクトに対するISOガイドライン」の水質レベルと比較し, 各カテゴリーの水質レベルを達成するために必要な運転管理方法を検討した。処理水のBOD濃度とSS濃度は流量調整槽前置嫌気ろ床接触ばっ気法の農業集落排水処理水に比べて灌漑水として良好な値であり, ばっ気槽のDO濃度 (ばっ気工程終了時) を1~2 mg L-1とすることで水質が最も良好なカテゴリーAの水質レベルを達成できる可能性が高いことが分かった。また, ばっ気槽のDO濃度の応答は散気方式によって大きく異なるため, 散気方式に応じたばっ気強度の管理が重要であることが示された。処理水中の残留塩素濃度が0.15 mg L-1以上検出されれば, 大腸菌群数はカテゴリーBおよびAの水質レベルを達成できる可能性が高く, 残留塩素の適切な濃度管理が処理水の灌漑利用のためには重要であると考えられた。

著者関連情報
© 2023 公益社団法人 日本水環境学会
前の記事
feedback
Top