日本泌尿器科学会雑誌
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原著
腹腔鏡下前立腺全摘術:“尿失禁軽減のコツ6項目”施行による術後尿失禁改善効果の検討
東 治人伊夫貴 直和稲元 輝生小山 耕平右梅 貴信勝岡 洋治
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2010 年 101 巻 1 号 p. 1-12

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抄録
前立腺全摘術における術後の尿失禁は,腹腔鏡下前立腺全摘除術に限らず,本術式における最も大きな課題の一つである.腹腔鏡下手術における器具や技術の向上に伴い,より確実なcancer controlが可能となりつつある今日,今後の焦点は,ますます術後のQOL,特に尿失禁にあてられると考えられる.我々は2007年7月から,2009年3月までに53例の限局性前立腺癌患者に対して腹腔鏡下前立腺全摘除術を施行し,尿失禁の改善に焦点をおいて試行錯誤を繰り返してきた.本稿では,我々の施設で行っている,“術後尿失禁軽減のコツ6項目”(1)骨盤底筋膜を可及的に温存する;(2)膀胱頸部を可及的に温存する;(3)両側神経温存術を施行する;(4)恥骨前立腺靭帯を可及的に温存し,膀胱頸部前面と縫合する(膀胱頚部吊り上げ法);(5)膜様部尿道を可及的に温存する;(6)Denonvillers筋膜を修復する(桿状尿道括約筋,Denonvillers筋膜切断端,および,膀胱裏面を縫合する);に焦点をあて,その術式の詳細につき紹介するとともに,これまでの手術症例を本術式施行前と,施行後の2群に分け,それら2群間における,手術所見(手術時間,出血量,病理所見),術後合併症,および,尿失禁を含めた臨床経過について比較検討した.
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© 2010 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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