日本泌尿器科学会雑誌
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症例報告
尿膜管疾患と鑑別困難であった腹壁原発malignant peripheral nerve sheath tumorの1例
蓼沼 知之坂田 綾子杉浦 晋平田尻 雄大権藤 俊一北見 一夫
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2013 年 104 巻 5 号 p. 663-666

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抄録
Malignant peripheral nerve sheath tumor(MPNST)は悪性度の高い軟部肉腫で,腹壁に発生することは極めて稀である.今回我々は尿膜管疾患と鑑別困難であった腹壁原発MPNSTの一例を経験したので報告する.症例は72歳女性.2011年10月頃,臍の腫瘤を自覚し,徐々に増大するため,11月に当院消化器外科を受診した.画像診断で尿膜管腫瘍と診断され当科紹介された.腹部造影CTで臍部から腹壁に進展する5 cm大の嚢胞性腫瘤を認めた.PET-CTではSUV値は2.6と軽度集積のみであった.尿膜管嚢胞と診断したが,尿膜管癌を否定できないため,2012年1月尿膜管腫瘍摘除術を施行した.病理診断はMPNSTであった.術後9カ月経った現在まで再発は認めていない.MPNSTの好発部位は脊椎近傍の後腹膜腔や四肢・頭頚部とされ,腹壁原発の報告は極めて少なく,本症例は海外例を含めても6例目であった.また,尿膜管疾患との鑑別が困難であったという報告例は本症例が初めてであった.
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© 2013 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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