日本泌尿器科学会雑誌
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原著
局所進行性前立腺癌に対する根治的前立腺全摘除術の術後再発因子に関する検討
山本 致之中山 雅志上田 倫央武田 健中田 渡新井 康之垣本 健一西村 和郎
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キーワード: 局所進行性, 前立腺癌, 手術
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2014 年 105 巻 3 号 p. 91-96

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抄録

(目的) 局所進行性前立腺癌に対する根治的前立腺全摘除術の治療成績を後方視的に解析し,再発予測因子に関して検討する. (対象と方法) 局所進行性前立腺癌(cT3N0M0)に対し,1995年11月~2011年1月に当院で根治的前立腺全摘除術を施行した64例を対象とし,後方視的検討を行った.全64例の全生存率と癌特異的生存率,術後補助療法を施行しなかった44例に関して,生化学的再発率及び危険因子を検討した.p<0.05を有意とした. (結果) 全64例に関して,手術時年齢の中央値は67歳(48~74),診断時PSAは14.1 ng/ml(2.2~76.2),術後観察期間は62カ月(3~172)であった.10年全生存率,癌特異的生存率は98%,100%であった.術後補助療法未施行44例の5年,10年PSA非再発率は59%,51%であった.単変量解析では診断時PSA 15 ng/ml以上,生検GS 8以上がPSA再発の有意な危険因子であった.cT3a, PSA<15 ng/ml, GS<8のすべての条件を満たす16例の5年PSA非再発率は78%,その他の群は37%であった(p=0.009). (結論) 臨床的T3a, PSA 15 ng/ml未満,生検GS 8未満,これら全てを満たす局所進行性前立腺癌症例に対して,根治的前立腺全摘除術は有効な治療法となりうることが示唆された.

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© 2014 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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