日本泌尿器科学会雑誌
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症例報告
肉眼的血尿を認めてから半年の経過で死亡した尿管原発未分化癌の1例
原 寛彰皆川 倫範山岸 貴裕市野 みどり小川 輝之栗崎 功己加藤 晴朗石塚 修古畑 誠之浅香 志穂西沢 理
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キーワード: 尿管癌, 未分化癌, 予後
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2015 年 106 巻 2 号 p. 103-108

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抄録

症例は62歳男性.肉眼的血尿を主訴に近医泌尿器科を受診した.膀胱鏡で右尿管口から血尿の流出を認め,腹部CTで腎実質の萎縮を伴う右水腎症と,水尿管を認めた.尿管腫瘍の疑いで当院へ紹介された.MRIを施行したが,明らかな腫瘍は認めなかった.逆行性尿路造影では上部尿管での狭窄が著しく,洗浄細胞診は陰性であった.その後,腰痛が出現し,再度施行した腹部CTでは,右腎の瀰漫性腫大,多発する腹部リンパ節の腫脹,肺野結節影を認めた.腎生検を施行し,未分化な腫瘍細胞を認めたが,原発臓器や組織型は推定困難であった.腫瘍の増大は著しく,肉眼的血尿を自覚してから約半年後に永眠された.病理解剖の結果,右上部尿管の表層には尿路上皮癌を認め,尿管壁深層に向かうにつれて円形細胞で構成される未分化癌へ移行する像を認めた.遠隔転移巣や,浸潤した隣接臓器からも未分化癌を認めた.以上の所見から,右上部尿管原発の尿路上皮癌が未分化癌へ移行し,隣接臓器への浸潤および多発遠隔転移を来し,多臓器不全にて死亡したと推察された.

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© 2015 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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