日本泌尿器科学会雑誌
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原著
当科における腹腔鏡下腎摘除・経腟的摘出術の初期成績
山本 茂樹鈴木 晶貴鈴木 弘一鈴木 省治加藤 久美子服部 良平
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2015 年 106 巻 3 号 p. 151-155

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抄録

(目的) 腹腔鏡下腎摘除術後の経腟的摘出術の手技と結果について報告する.

(対象と方法) 2013年8月より,6例の女性患者に腹腔鏡下腎摘除術後の経腟的摘出術を予定し,そのうち5例に経腟的摘出術を施行した.腹腔鏡下腎摘除及び標本をバッグへ収納後,体位を砕石位とし経腟的に後腟円蓋を横切開した.腟から指を挿入し腹腔鏡視下に鈍的に腹膜を開放し,収納バッグのパースストリングを腟から引き出した後,標本はバッグごと腟から摘出した.標本サイズが大きく腟壁が硬い場合は患側に切開を延長した.標本摘出後,腹膜は腹腔鏡下に,後腟円蓋は経腟的に閉鎖した.

(結果) 試みた5例で経腟的摘出に成功した.経腟的摘出に要した時間は平均59分であった.出血は少量で摘出標本の平均値は447 g(271~655 g)であった.術中合併症は生じなかった.1例で術後,一時的な神経障害によると考えられる排尿障害により数日導尿管理を要した.

(結論) 腹腔鏡下腎摘除後の経腟的摘出術は有効で合併症も少ない手技である.

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