2015 年 106 巻 3 号 p. 199-205
異時性発症の両側精巣癌に対して,異なる治療を行った3例を経験し,再発の有無,性機能および妊孕能について検討したので報告する.
症例①:患者は38歳.26歳時に右精巣癌の診断で高位精巣摘除術を施行.病理組織学的診断はセミノーマで,病期はT1N0M0S2と診断.38歳時に6cm大の左精巣癌が疑われ,高位精巣摘除術を施行.病理組織学的診断はセミノーマで,病期はT1N0M0S2と診断.2回目の手術から4年経過し,再発を認めない.勃起および射精は不可能である.
症例②:患者は21歳.20歳時に左精巣癌の診断で高位精巣摘除術を施行.病理組織学的診断はセミノーマで,病期はT1N0M0S0と診断.21歳時に1cm大の右精巣癌が疑われ,精巣部分切除術を施行.病理組織学的にセミノーマと診断され,腫瘍周囲にITMGCが確認された.温存精巣にITMGCの残存が示唆され,BEPを2コース追加した.化学療法から5年経過し,再発を認めない.勃起および射精は可能である.
症例③:患者は36歳.30歳時に右精巣癌の診断で高位精巣摘除術を施行.病理組織学的診断は胎児性癌で,病期はT1N0M0S1と診断.36歳時に左精巣に1cm大の腫瘤を認め,吸引細胞診検査を施行.病理組織学的に胎児性癌と診断され,BEPを3コース行った.化学療法から11年経過し,再発を認めない.勃起および射精は可能である.