2015 年 106 巻 3 号 p. 194-198
61歳女性.既往に急性骨髄性白血病があり,骨髄移植後,骨髄寛解状態ではあったが血小板の回復は不十分で経過していた.2013年5月末に発熱,左背部痛にて精査加療目的に入院.腹部CT上右上部尿管,左下部尿管に腫瘍が疑われた.尿管尿細胞診はClass IIIであり,診断のため尿管鏡検査を施行した.右上部尿管および左下部尿管に黄色調の腫瘍を認め,組織生検を行った.検査2週間後に全身倦怠感著明となり,腹部CTにて腫瘍の増大,腹水の出現,後腹膜播種を認めた.腹水細胞診にて白血病細胞の浸潤を認め,骨髄穿刺にて白血病の再発と診断された.積極的治療は困難であり,緩和療法の方針となった.入院1週間後に死亡した.尿管腫瘍は顆粒球性肉腫の診断であった.
顆粒球性肉腫は,顆粒球系幼弱細胞が骨髄外に腫瘤を形成する病態で,WHO分類で骨髄肉腫(myeloid sarcoma)に分類され,骨髄性白血病の2~8%に認められる.予後不良であり,白血病既往のある患者には念頭に置く必要がある.