日本泌尿器科学会雑誌
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原著
経尿道的膀胱腫瘍切除術における周術期抗血栓薬継続の安全性に関する検討
福原 宏樹柿崎 弘金子 尚嗣山辺 拓也中山 尚子堀江 繁光土谷 順彦
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2017 年 108 巻 1 号 p. 17-23

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抄録

(目的) 抗血栓薬内服下における経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)の安全性と有用性について検討した.

(対象) 2011年4月から2015年10月までに当院で行ったTURBTのうち術前に抗血栓薬を内服していた61回のTURBT(31回:抗血栓薬継続群,26回:抗血栓薬休薬群,4回:ヘパリン置換群)を後ろ向きに解析した.周術期合併症,術後血尿持続期間,尿道カテーテル留置日数,術後入院日数,全入院日数を主要評価項目とした.

(結果) 継続群,休薬群,ヘパリン置換群の手術時間中央値はそれぞれ(40.0分,39.0分,31.0分),血尿持続期間中央値は3群とも1日,尿道カテーテル留置日数中央値はそれぞれ(3日,2.5日,2日),術後入院日数中央値はそれぞれ(4日,3.5日,3日)でいずれも統計学的有意差を認めなかった.全入院日数中央値はそれぞれ(6日,7日,16日)でヘパリン置換群が他の群よりも有意に長かった.合併症は継続群で6回のTURBT(19.4%),休薬群で3回のTURBT(11.5%)に認めたが頻度に統計学的有意差を認めなかった.重篤な合併症として休薬群の1例に片麻痺を伴う脳梗塞が生じた.

(結論) 抗血栓薬継続下におけるTURBTは重篤な血栓塞栓症を予防するとともに,休薬群,ヘパリン置換群と同等の周術期成績であった.抗血栓薬継続下のTURBTは安全かつ有用と考えられた.

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© 2017 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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