日本泌尿器科学会雑誌
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原著
当院における後腹膜発生脂肪肉腫の臨床的検討
佐藤 真彦坂井 孝成祢津 晋久黒本 暁人菅野 秀典沼畑 健司星 宣次
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キーワード: 後腹膜腫瘍, 脂肪肉腫, 手術
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2017 年 108 巻 2 号 p. 64-68

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抄録

(目的)当院で後腹膜脂肪肉腫に対して手術を施行した症例についてレトロスペクティブに検討したので報告する.

(対象と方法)2002年2月から2015年8月までに当院で後腹膜腫瘍脂肪肉腫に対して切除術を施行した症例について検討した.症例は全部で15症例,平均観察期間は46.7カ月(1~126カ月)であった.

(結果)男性7例,女性8例であり性差は認めなかった.年齢の中央値は67歳であった(33~78歳).腫瘍長径の中央値は24cmであり(7.5~45cm),腫瘍重量の中央値は1,959gであった(545~15,400g).初回手術で腫瘍が残存した症例は1例,断端陽性であった患者は2例であった.全症例における5年生存率は67%,10年生存率は50%であった.初回手術で腫瘍が残存もしくは切除断端陽性であった場合は完全切除の場合と比べて生存率に有意差を認めた.また切除断端陽性の場合は完全切除の場合と比べて無再発生存率に有意差を認めた.臓器合併切除の有無による生存率や無再発生存率には有意差を認めなかった.

(結論)脂肪肉腫は高率に再発する疾患であり初回手術での完全切除が必要である.

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