2017 年 108 巻 4 号 p. 200-203
症例は78歳女性.肉眼的血尿を主訴に当科受診し,CT,逆行性腎盂造影,尿細胞診より左尿管結石に伴う巨大水腎症および多発腎盂癌cT3N0M0と診断した.経腹膜アプローチで開腹左腎尿管全摘除術を施行した.術中造設した腎瘻と術後検体から回収した腎盂尿は計8,600mlであった.腎盂癌の病理診断は,稀な組織型で悪性度が高い巨細胞型尿路上皮癌であった.15mm大の結石が嵌頓していた上部尿管にも同じ組織型の尿管癌を認めた.手術1カ月前から急速な水腎症の悪化を認めた原因は,巨細胞型腎盂尿管癌の急速な進行が一因であると考えられた.
術後補助療法として,Gemcitabine/Cisplatin併用化学療法(GC療法)を3コース施行後,多発肺転移および骨転移を生じてきたため,現在は骨転移に対する放射線療法およびGemcitabine/Paclitaxel併用療法(GP療法)を施行中である.