日本泌尿器科学会雑誌
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原著
フルニエ壊疽15例の臨床的検討
坂本 昭彦金子 智之金谷 淳志木村 将貴高橋 さゆり山田 幸央三宅 康史坂本 哲也中川 徹
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2021 年 112 巻 2 号 p. 65-69

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抄録

(目的) 帝京大学附属病院において,過去10年間にフルニエ壊疽と診断・加療された15例の患者背景,臨床的指標および予後に影響を与える因子を明らかにすること.

(対象と方法) 2009年5月から2019年4月までの10年間に,帝京大学医学部附属病院においてフルニエ壊疽と診断・加療された15症例を対象とした.患者背景およびFournier Gangrene Severity Indexを含めた臨床的指標を記述した.生存例と死亡例における臨床的指標の比較を行い,予後に影響を与える因子について検討した.

(結果) 15例の年齢中央値は67才,全例が男性であった.糖尿病合併例は9例(60%)であった.14例(93%)に対して外科的デブリドマンが施行された.精巣摘出術を要したのは5例(33%),膀胱瘻造設術を要したのは3例(20%),人工肛門造設術を要したのは3例(20%)であった.死亡例は3例(20%)であった.生存例と比較して,死亡例は有意に高齢であり(p=0.043),BMI低値であった(p=0.038).Fournier Gangrene Severity Index等の予後予測指標は死亡例で高い傾向を認めた.

(結論) 当院における過去10年間のフルニエ壊疽15例の死亡率は20%であった.2010年代においても,フルニエ壊疽は死亡率の高い疾患であった.

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