日本泌尿器科学会雑誌
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原著
尿管膀胱新吻合術後の続発性膀胱尿管逆流症例に対する内視鏡的Deflux注入療法の治療経験
青木 裕次郎松井 善一佐藤 温子森澤 洋介岩佐 俊佐藤 裕之
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2021 年 112 巻 2 号 p. 75-80

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抄録

(目的) 尿管膀胱新吻合術後の続発性膀胱尿管逆流(VUR)の症例に対して行った,内視鏡的Deflux注入療法(Deflux注入療法)の治療有効性を検討した.

(対象と方法) 2010年から2018年までに,当院でDeflux注入療法を行った,尿管膀胱新吻合術後の続発性VURの4例を後方視的に検討した.手術適応は有熱性尿路感染症あるいは腎瘢痕の新生とし,Deflux注入療法による治療成績を評価した.

(結果) 症例は男性2例と女性2例,3例は原因不明の下部尿路機能障害で,全例が清潔間欠導尿を行っており,3例はChoen法による尿管膀胱新吻合術が行われていた.術前検査では,全例が片側VURの症例で,VUR gradeはGrade IIIが1例,Grade IVが3例であった.初回手術は中央値12.8歳で,全例とも片側の尿管にDeflux注入療法が施行された.Defluxの注入方法は,HIT法とSTING法の併用が2例,HIT法のみが2例で,注入量は中央値2.4mlであった.初回のDeflux注入療法による治療成績は,VUR消失が1例(25%)で,3例にVURの残存を認めた.VUR残存の3例中2例に2回目の治療が行われ,1例にVURの消失を認めた.

(結論) 尿管膀胱新吻合術後の続発性VURにおけるDeflux注入療法の初回成功率は25%と低く,その治療選択は慎重に決定する必要がある.

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